食堂めしや

地元松山の懐かしい味

2019年10月開業

四国霊場第51番札所「石手寺」のすぐそばにある「食堂めしや」。
メインの料理に加え、旬の食材を使った小鉢3種と、おみそ汁、ご飯の「お魚定食」と「お肉定食」がそれぞれ用意されています。
スタッフは「お魚定食」をいただきましたが、味も濃さも丁度良く、魚は食べやすいように骨を取り除いており、身はホクホク感でいっぱい。一方、「お肉定食」の肉は200グラム近くあり、ボリュームがあり食べ応え十分です。小鉢もひと手間かけており、一般でも手に入る食材を手間ひまかけて調理されており、地元松山のどこか懐かしい味が店内に漂っています。ぜひ行ってみてはいかがでしょうか。


店主の永野浩さんは松山出身で、学生時代は道後で育ったこともあり、「石手寺にもよく遊びに行った」と懐かしんでいました。
会社員時代は東京でIT業界に従事。元々IT業界を目指していたわけではなく、学生時代に「今後将来的にコンピューターが必要になる時代が必ず来る。そのためには自ら体得したい」とIT業界の必要性を感じ、以後20年以上に渡り 国産ITベンダーから外資系大手企業に所属、システムエンジニアから始まり、マーケッターを中心に、経営補佐からバックオフィスなど幅広い職種を経験。「営業マン以外は何でもしました」とおっしゃっていました。
キャリアを重ねるうちに、結果を残すことはできるが、業界内外の顧客と所属企業の期待値と自分自身の考えとのギャップで、「ITはもういいかな」と考えるようになり、「自分自身が今後ITをやり続ける姿が想像できなかった。業界から身を引くタイミングだった」と振り返っていらっしゃいました。

そして次を見据える中で、社会の流れを鑑み「自分で稼ぐこと」が大切で、「現代社会がある以上『衣食住』は生きていくために必要なことで、ニーズがゼロになることはない。特に『食』は生命に直結する。それなら食に係わる仕事をしよう」と決意されたとのこと。
飲食業は永野さんにとって、中学生の頃まで親御さんが飲食店を経営していたこともあり「飲食店が日常生活だった。飲食業は違和感のない環境で抵抗感もなかった」と話されていました。
「飲食業界は飽和状態だが、頑張れば残れる。また、将来自分が歳を重ねた時に身体を動かしていないと色々大変になる可能性があるので身体を動かせる仕事がしたかった。あとは、ITから飲食へ転身したら、周囲が驚くだろうなあと、「人生ドッキリ」のようないたずら心ある」と笑顔で話されていました。

IT業界退職後は、東京都内で調理師資格取得のために専門学校に入学。割烹、和食ダイニングや魚中心の居酒屋など様々なところで経験を積まれました。「真面目イコール勉強ができるではなく、“やる気があるかどうか”と考え、徹底的に自分の身体で覚えて体得することで経験が大きな強みとなりました」とのこと。

そして2017年9月に帰郷され、その後はミラジョブの創業相談へ何度もご来所いただきました。
「場所の選定は、色々物件巡りをしていた。25年松山を離れていたことで、昔のイメージと現在を補正して、自分がやりたいこと、客層などを考えた。準備は半年くらいでできていたが出店場所の関係でOPENは2019年10月になった。OPENまでの間は宣伝活動の時間が取れたことが結果的に良かった」と振り返っていらっしゃいました。

開業後の状況について、地元と観光客の比率は約７：３。40代以上が全体の約7割を占め、リピーターも増えてきています。
数字やお客様の反応は「おおむね予想どおり」と語り、取材時（2020年1月）はオリンピック開催前で、どこかフワフワしている感があるが、社会や国際情勢などを見ると、正直、次に何が起こるかわからず、浮足立った状況ではない。「自分の身は自分で守る」ためにも、それなら「いつ何時後悔しないように、今やりたいこと、考えていること、できることをしよう」と力強く話されていました。
これから創業をされる方へのメッセージは「スタートから黒字と思わず、2年間は赤字が続くことも考えないと、商売は上手くいかない。また、本気があると「疑問」が生まれる。自分がやりたい、自分から好きになったことを、自己決定してスタートしてほしい。後悔のないような仕事をしてほしい」とのこと。

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